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■ファイナルファンタジー5 ジョブ縛り FF5を青魔道士の青魔法のみでクリアしてみる 【作品の傾向】青魔道士の青魔法のみでの制限プレイ 【状況】完結 (07/11/20~08/04/24) 【全動画数】26 【マイリスト】mylist/3914754 【備考】青魔法のみで完全攻略。動画の最後に青魔法解説やボス攻略の別法などを紹介している。 この動画情報を編集 FF5制限「ちけい」と「どうぶつ」で世界を救う 【作品の傾向】「ちけい」「どうぶつ」縛りプレイ 【状況】更新中(08/03/05~) 【全動画数】10(08/05/11現在) 【マイリスト】mylist/5643659 【備考】戦闘中以外の行動などは制限していません。詳細は作者コメント参照。 この動画情報を編集 ファイナルファンタジー5を低レベル、アビリティ0でプレイ 【作品の傾向】制限プレイ、ボス戦のみ 【状況】完結(07/05/06~07/05/20) 【全動画数】59 【マイリスト】mylist/3818570 【備考】縛りプレイ。2.1.1.4型の低レベル、アビリティ取得禁止をベースに以下の条件。【デス、斬鉄剣などの即死、瀕死系の攻撃禁止(死の宣告はネオエクスデスのみ禁止とする)】【ロッド、術の禁止(もしかしたらサンドウォームのみ解禁するかも・・・)】【ドーピング禁止。しかし、ザコ敵でレベル3フレア習得の時は使います。】【ガルキマセラ以外のはなつ禁止。】 この動画情報を編集 FF5 MP消費ジョブ縛り 【作品の傾向】制限プレイ。 【状況】未完で終了(07/05/26~07/07/15) 【全動画数】34 【マイリスト】なし。FF5MP消費ジョブonlyタグ 【備考】縛りプレイ。 ルール1:MP使用系ジョブonly。ジョブ重複ダメ。アビリティ重複ダメ。MP使用系ジョブが3職以下の場合のみすっぴん可。ルール2:ギルは魔法の購入と宿代にのみ使用ok。ルール3:アイテムの戦闘中使用禁止。移動中はok。ルール4:エンディング見るまでがんばる。ルール5:エクスカリパー入手後はメイジが肌身離さず装備。※MP使用系ジョブ:魔法剣士、白魔導士、黒魔導士、時魔導士、召喚士、青魔導士、赤魔導士 この動画情報を編集 FF5 できるだけ低レベルでALLバーサーカー 【作品の傾向】制限プレイ、ボス戦のみ 【状況】完結(07/09/30~07/11/25) 【全動画数】7 【マイリスト】mylist/3317051 【備考】ジョブをバーサーカーで縛ったプレイ。現在はもっと低レベルでバーサーカープレイもアップしている。 この動画情報を編集 FF5をすっぴんのみでクリアする 【作品の傾向】制限プレイ 【状況】完結(08/03/09~08/07/20) 【全動画数】25+番外編5 【マイリスト】mylist/5500119 【備考】ジョブ:すっぴんのみでの縛りプレイ この動画情報を編集 FF5を魔獣使いでクリアしてみようかな(アイテム禁止)その1 【作品の傾向】制限プレイ 【状況】更新中(08/03/24~) 【全動画数】15以上 【マイリスト】mylist/5847897 【備考】魔獣使いのジョブとアビリティのみ、アイテムの使用禁止、アクティヴ・スピード1、なるべく低レベルでのプレイ この動画情報を編集 FF5 低レベル・3人・薬師縛り 【作品の傾向】制限プレイ、ボス戦のみ 【状況】更新中(08/04/04~0//) 【全動画数】5以上 【マイリスト】mylist/6078903 【備考】3人での薬師のみでのプレイ。 ボス戦のみ縛りの為、普通時に!ぬすむなどを使用しアイテム集め、また増殖技使用。ドラゴンパワー、サムソンパワーは詰まない限り使用禁止・アクティブBS1(パート2より) 補足:パート2から縛りをきつくして最初からやり直しているので2から見ても良い。パート1でチートが疑われているが未使用(2参照) この動画情報を編集 状態縛り・低レベル ファイナルファンタジー5 低レベル&ミニマム縛りに挑戦 【作品の傾向】制限プレイ 【状況】完結(07/05/23~07/10/11) 【全動画数】41 【マイリスト】mylist/805592 【備考】制限プレイ 全員ミニマム化・低レベル(2-1-1-4)・アビリティポイント獲得禁止。戦闘中の消費アイテム使用禁止・ロッド&巻物の使用禁止。ガルキマセラを捕らえる時とはなつ時及び、雑魚敵での青魔法をラーニングする時以外の「はなつ」の使用禁止。銭投げ・なげるの使用禁止・愛の歌以外の歌うの禁止 この動画情報を編集 FF5蛙縛り 【作品の傾向】制限プレイ、ボス戦のみ 【状況】更新中(08/03/26~0//) 【全動画数】10以上 【マイリスト】myvideo/545691 【備考】全員カエル状態での制限プレイ 禁止:・低レベル(2223型)・ABP取得禁止・全戦闘カエル状態・ロッド、杖投げ、巻物投げ、銭投げ禁止・ドーピング禁止 なるべく禁止(場合によって解除):・はなつによる瞬殺・即死、瀕死、石化・戦闘中の蘇生 この動画情報を編集 ファイナルファンタジー5 回復&購買禁止プレイ 【作品の傾向】制限プレイ 【状況】(07/05/02~07/07/03) 【全動画数】22+おまけ2 【マイリスト】なし。回復&購買禁止タグで見られる 【備考】制限内容:戦闘中・移動中問わず常に回復禁止(MP・異常回復、巨人の薬やダメージ吸収も×)、ギル消費(銭投げ含)、ロッド投げ、即死・瀕死・石化させる攻撃、乱れ撃ち・かくれる・調合・分身・とらえる、すっぴん&ものまねしを禁止 この動画情報を編集 FF5 どんな手を使ってでも低レベル攻略 【作品の傾向】制限プレイ(低レベル)、ボス戦のみ 【状況】完結(07/09/22~08/01/03) 【全動画数】8 【マイリスト】mylist/2664496 【備考】低レベルクリア。条件はなしでボス戦のみ。 この動画情報を編集 FF5装備なし低レベルクリア 【作品の傾向】制限プレイ(低レベル)、ボス戦のみ 【状況】完結(07/10/30~08/01/06) 【全動画数】13 【マイリスト】mylist/3299615 【備考】低レベル装備なしプレイ。 低レベル2114型、装備なし、MP使用0、バーサク不可、宝箱等の回収なし(世界地図除く) この動画情報を編集 このページの一番上へ タグ:GBA RPG SFC ふ このページを編集
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称号なし・特殊効果なし・簡易版ルール 称号は使えません 称号は与えられません メタルスライムも使えません 「00ファンタスレ」と呼んで00勇者とは別物として独立 【ここだけファンタジーバトル!00で竜騎士】 ------------------------------------------- 最初の書き込みコンマが00で竜騎士 01~25戦士/26~50魔導師/51~75シーフ/76~95学者/96~99チョコボ レベル0になると死亡!!!転職!!! ------------------------------------------- 00 攻撃1000 11 レベルアップ 22 攻撃200 33 レベルアップ 44 反撃:レベルが一つ下がる 55 レベルアップ 66 攻撃600 77 レベルアップ 88 攻撃800 99 大反撃:上の人まきぞえにして2人のレベルが一つ下がる ------------------------------------------- 00勇者スレとは別です。称号禁止 ------------------------------------------- 【なにか敵の名前】 HP 戻る
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墓の番人 シンだけでなく、先を急ぐ誰もが最後尾を振り返った。 そこはまだ熱の冷めない輸送艇のエンジンが回っている発着ポートで、ヨウランとヴィーノが慌しくパーツ奪取のために整備点検の道具箱を運び込んでいた。その少し離れた所でアレックスが腕を組んで立ち止まっている。 「ヴィーノ、ヨウラン! 頂けるものは飛行石でも何でも貰っておけよ」 「了解!」 くすくすと笑うミーアがアレックスの横まで戻って、呆れたように『めっ』と指差す。 「そういう言い方は良くないと思うわ」 「じゃあ、どう言えば良かったんだ」 アレックスがムッとしてミーアに聞き返している。少し意外な表情にシンが感心していると、ラクスがシンの前まで戻っていた。 「どういう意味でしょうか?」 見据える王女の瞳は厳しくアレックスを睨んでいるよう。それを見て彼もミーアに向けていたような表情がガラッと変わる。 「俺は空賊だ。レジスタンスに協力するつもりはない」 対するラクスも無表情のまま告げる。 「わたくしに、帝国の圧制に苦しみ、国を失ったアプリルの民を見捨てろと」 「それが俺に何の得がある?」 はあ・・・と横のミーアが溜息をついていた。 「空賊が・・・」 シンは二人のやり取りを息を呑んで見守っていたが、ダコスタのはき捨てた一言が耳に残る。確かにアレックスは空賊なのだ。亡国の王女ラクスやその国の将軍だったキラとは違う。まして、帝国の王子であるシンとは背負う物が天と地ほど違うのだ。 「王国復興と言うが、市民にとってはどんな国が治めようと争いがない状態が一番だ。それは俺達、空賊にとっても同じだ」 統治する者と庇護される者、そのどちらにも属さないから空賊は自由人と呼ばれる。だが、戦乱の世は消費する世界なのだ。金や資源、人命を国家が徹底的に搾取してしまい、軍隊・国家という怪物相手に空賊は太刀打ちできない。 「シン、お前もステラをアプリリウスまで届けたら帝都へ帰れ」 突如、自分の名前が呼ばれてシンは慌ててアレックスを見た。今までも見ていたが声は頭の中を素通りしていたのだ。改めてみるアレックスの前に咄嗟に声が出ない。 シンを見据えるアレックスがまるで別人のように見える。 銀髪を一筋も揺らさずに厳しい声を掛ける兄を前にしたように、シンは本能で背筋を伸ばし、その視線にほんの僅かな懐かしさを感じていた。 「王国復興は、勇者ごっこじゃない。フェイスに言われただろう」 帝国の飛行戦艦でフェイスマスターのディアッカに言われた事が蘇る。 目の前でラクスが身体を硬くしたのにも気づかず、背後でダコスタが飛び掛らんとした所をキラに制止されていた事にも気づけなかった。 「お前のやることは滅びた国を復活させることか?」 俺だっていつか帝国の為、より良く帝国を治める為に動かなきゃいけない時が来る。 「違うだろ。今なら定期便も運行されているし、アプリリウスならお前の兄だっている」 確かにそうすることが一番いいのだろう。 彼女をネオの元に届け、自分は当初の目的どおり執政官府に兄を訪ねる。 そこで旅は終わり、冒険は終わる。 シンがアレックスの言うことに頷いて納得しかけた時、ステラがシンの袖を引っ張った。 「でも、ステラ、アプリリウスに戻っても1人。アウルやスティング達、もう、出発していない」 「えっ、何だって、ステラ?」 ステラのおかげでシンの緊張が一気に解けていた。 「ネオ達、一度出かけると当分帰ってこない。だからアレックス、シンと一緒に居てもいい?」 「あのな、空賊だって遊びじゃないんだ」 シンは自分より彼を当てにしたステラに恨みがましい視線を寄せる。 呆れた表情の彼はステラを見て扱いに困っているようだった。シンには強く出る彼も相手が少女だから戸惑っている。 ミーアがステラの前でしゃがみ込んで、頭を撫でる。 「無茶言わないの・・・」 泣きそうなステラにミーアがそっと微笑むが、ラクスはその様子をチラリと見ただけでアレックスに話しかけた。その唇の端には笑みを少しだけ乗せて。 「では、空賊、こうしましょう。王墓にある宝を貴方に差し上げますわ」 王の墓には埋葬品として多くの財宝が眠っていると相場が決まっている。 ラクスは自分の先祖になる、それこそ自分の一存では決められない歴史的価値のある代物をポンとアレックスに差し出していた。 「覇王の財宝か・・・その話、信じてもいいんだろうな?」 「今まで誰にもその場所を暴かれなかったのですもの」 肩の力を抜いたアレックスがラクスから視線を逸らす。どうやらこの勝負、彼女の勝ちのようだ。財宝が手に入るならアレックス的にも問題ないのだろう。ミーアに肘で小突かれて居心地悪そうにしている。 ステラも手を叩いて喜んでいる。 これで残すは唯1人だ。 「俺は一緒に行ってもいいのか?」 「あらどうしてそう思いますの?」 「だって、俺・・・」 アンタ達が倒そうとしている側の人間だ。 シンはそれを口に出せなくて、視線を落とした。 「大丈夫。僕達、君をそんな目で見ないよ」 シンの気持ちを察したのはキラ。しかし、元将軍は優しいだけではなかった。 「あっ、それもちょっと違うかな。君は確かにプラントの王子だけど・・・それだけだ」 シンはその意味が分かってしまって拳を握り締めた。ここ数日、ずっと自分が感じてきた焦り。直面した現実。プラントの王子としての注意を向ける必要がないのだ。影響力がないといっていい。敵にも味方にも。 「アプリル復興レジスタンスの仲間入りはちょっと無理ですけれど、空賊の仲間と言うことなら問題ありませんわ」 「な!」 振り向いたラクスをまじまじと見てしまう。彼女はにこりと笑って、その後ろのアレックスが怖い顔をしているのがぼやける。 「あっ、俺・・・」 一緒に居てもいいんだ。柄にもなく目の奥がじいんとするから、急いで瞬きしたけど目じりに熱いものが浮かんで慌てて腕を上げる。ステラが不思議そうに見上げるから、妙な泣き笑いになってしまって誤魔化せなかった。 「予定変更。さっさと撤収するぞ」 いきなりアレックスが輸送艇に張り付いていたヨウランに声を出す。装甲を剥しかけていたヴィーノが反対側から顔を出し文句を言う。 「まだ、全然なのに~」 「またやばいことに首突っ込んでるよ絶対、これ」 ヴィーノとヨウランが顔を合わせてブーブー言うが、アレックスは聞こえないフリをして工具をしまい始める。 「さっさと行く!」 シンも照れ隠しに工具箱に手をかけるが、ヴィーノから『それはそっちじゃない!』と盛大に怒られてしまった。真似したステラがヨウランに同じように怒られたのはそのすぐ後。ラクス王女達は王墓へもう一つの種石を探しに、成り行きで空賊見習いとなったシン達は財宝を探しに、セイバートリィが空中都市から旅立った。 見習いの仕事は多い。 ヨウランとヴィーノについて簡単な飛空艇の整備を教わった後、輸送艇からぶん取ってきたパーツの仕分けを手を油塗れにして一緒にする。その後は雑用が待っていた。おかげでセイバートリィの中を隅から隅まで見ることができるわけだが。 「見習いか~」 「ついに俺達にも手下が!」 ヨウランとヴィーノが頭の後ろで手を組んで簡単に案内を始めた。 財宝と物資が雑然と詰め込んであるカーゴスペース。そこには食料や水もあって、隣には小さな炊事場があった。仮眠スペースと炊事場の間に大きな筒があり、頭を傾げているとヨウランが得意げに説明を始める。 「アレックスって、きれい好きなんだよ」 「そっ、あれで結構、風呂好きなんだよなあ」 驚くことにこの筒の中で簡単にお湯を浴びることができるらしい。 想像できなくてステラと二人で中を見回すが、どのような仕掛けになっているのか、風呂と聞いて大理石の大浴場か安宿の風呂桶しか思いつかないシンには見当もつかない。 あと、入ったことがないといえば機関部くらいだろうか。ラクス曰く、王墓は大陸の端にあると言うから、辿り着くまでに一度は入ることがあるだろう。大陸の端と聞いて複雑な顔をしていたアレックスとミーアが気にかかるのだが、それ程遠いのだろうか。 「ヨウランとヴィーノは飛空艇の操縦はできるのか?」 「飛空艇の操縦?!」 「ああ。いつも整備ばっかしてるから」 顔を見合わせる二人は笑いながら、シンの肩をポンポンと叩く。通路の壁にもたれるヨウランが少し真剣な顔をして言う。 「それは気が早いってもんだぜ、シン」 「そりゃ俺達だって、普通の飛空艇の操縦くらいできる。でも、これは違う」 コンコンと壁を叩くヴィーノ。 「本当はさ、整備だってアレックスがやった方が断然早い」 「えっ、そうなのか・・・?」 「なんたって、あの人が設計して自分で作った飛空艇だからな」 自分で設計して、自分で作った? 設計はいい、図面を引くことだ。けれど、自分で作るというのは良く分からない。 「俺達も良く分からないけど、コツコツ一から作り上げたらしいぜ」 「だからこんな規格外のわけわかんねえ設備が満載なわけよ、セイバートリィは」 自分で一から・・・そんな事が可能なのだろうか。 木のおもちゃの模型飛空艇とは違うのだ、なんてったってセイバートリィは本物の飛空艇。正真正銘に人を乗せて空を飛べる。 あ、と言うことは。シンはようやく思いつく。 「じゃあ、セイバートリィってのもアイツの命名?」 「あたり」 「ネーミングセンスないよな~」 カツカツと靴音が響く通路の先は飛空艇のコックピット。バシュと音を立てて扉が開くと、そこにはミーアの広げた地図を覗き込むアレックスと地図を指差すラクス達がいた。 「この先は飛空艇では進めないから、歩きだな。大丈夫か?」 アレックスがラクスに確認するのを見て、シンは口を尖らせる。ターミナルであれほど剣呑な二人だったのに、今、彼は彼女を気遣っている。それはステラも同じだったようだ。 「アレックスとラクス、仲直りしたの?」 付き合いの長いヨウラン達にはさほど奇特な光景でもなかったらしい。 「ああ・・・あの人、基本的に女に弱いから」 「ミーアの尻に引かれてるしな」 「聞こえてるぞ」 舌打ちをした当の本人が振り返って、釘をさす。慣れたもので、だからどうというわけではないやり取りに、気にするだけ無駄だと思った。それより、気になったのは何もそれだけじゃないので、別のことを聞くことにした。 「飛空艇では進めないって?」 「お前、本当に何も知らないんだなあ」 「まだ見習いですからー」 アレックスに意地悪く言われて、シンはぶすっと開き直った。 飛空艇から降りてシン達が少し進んだ所で、ヨウランとヴィーノが手を振っていた。その姿が急に消え、セイバートリィそのものが消えてしまった。シンとステラは純粋に驚いていたが、ラクス達は違った。険の含んだ声。 「便利な機能ですのね」 「ああ、空賊にとってはな」 ヨウランとヴィーノが残っているとは言え、安全とはいえない。 アレックスは有名な賞金首で彼を追い掛け回している空賊もいる。彼自身も飛空艇も身を隠す必要がある時があるのだ。 空を自由に飛べる飛空艇に唯一の不便があるとしたら。 それはエネルギーでも定員でも国境でもない、飛空艇が飛べない空。大陸の果てや絶海のエリア、いわゆる前人未到の秘境である。誰かしら足を踏み入れた場所は秘境ではなくなるから、畢竟、飛空艇が乗り入れできない場所、イコール、秘境であった。 原因は分かっていないが、ただシードが濃過ぎる場所では飛空艇は空を飛べなかった。 大気なのか、地上に何かがあるのか、そこでは飛空艇を降りて、自分の足なり動物なりで進むしか道はない。 そう、目の前に広がる砂漠のように。 遥か向こうに蜃気楼が浮かんでいる。 「廃棄された油田だな」 飛空艇が開発されるまで、地底から掘り上げた油を使って物を動かしていたのだという。グレン王が大陸をまとめることでその座をシードを含んだ石にとって変わられることになった。 しかし、数十年前からコスモス連邦では失われた技術を見直し、こうして油田を再開発したりもしていた。その有用性が見出せずこの油田は破棄されて久しいが、技術競争は魔法とシードを含んだ石だけでなく、過去の遺産、未知の可能性、そんな所にまで及んでいた。 「大砂漠を超えた向こうにグレン王の墓は眠っています」 同じように過去の遺産を求めるラクス王女。 シンは勇ましくスタッフを抱え、砂漠に足を踏み入れる女性を見る。 もう一つの種石を手に入れたらこの人はどうするのだろう。 決まっている。クライン王家の生き残りとして名乗り上げて、アプリルが帝国から独立する為の運動をするのだ。常に付き従うダコスタと言う軍人も、一歩引いて彼女を守るキラもその戦いに身を投じる。 「先を急ぎましょう」 ダコスタがささっと前に出て露払いを始めるが、ミーアとアレックスはのんびり歩き出した。 「そう慌てるな、ここから先は長丁場になる」 「彼の言うとおりだよ。この砂漠、慎重に進まないと」 先を急いだラクスとダコスタを呼び止めるように、キラとアレックスが後ろから続く。シンとステラはさらにその後ろからミーアと一緒に歩いていた。 「その者達を信用するのですか、ヤマト殿は」 「信用するとかしないとか、ただ僕はその方がいいと思っただけだよ。だから、ミーアさん、貴方が先導を頼みます。見たところ貴方が一番、シードに敏感だ」 驚いたミーアはラクスとそう替わらない年齢に見える。むしろ嫌そうな顔をしたのはアレックス。 「あ、あたし? そう、よねえ・・・アレックスに任せたらここでミイラだわ」 「いいのか?」 「何よ、あなたより道案内は正確よ?」 それはそうだ。アレックスには前科がある。キラの判断は正しい。 「そういう意味じゃなくて」 「大丈夫よ。その代わり、この二人の見習いさんを宜しくね、アレックス」 さっさと歩き出したミーアは砂漠から立ち上る陽炎にぼんやりと揺られ、大砂漠と遺棄された油田施設の間を進んだ。 一方、その頃のアプリリウスではディアッカが、結局上手い言い逃れが思いつかずにありのままをイザークに報告していた。 「それで貴様はおめおめ引き下がってきたというのか!」 「ほら、そろそろシンも独り立ちしないといけない年頃じゃない?」 「アプリル復興派と一緒にいて何が独り立ちだ! 王女は稀代の歌姫だぞ、ころっと洗脳されたらどうしてくれる!!」 執務室のデスクを挟んだやり取り。 悪びれもせず飄々とする部下に憤ってみても後の祭り。 「まあまあ、落ち着けって、イザーク、殿下」 「フン!」 臣下の礼を取られれば、イザークは怒りを収めて節度ある態度を取らねばならなかった。 自分でも詮無きことと思っても、歯がゆいのはもはや自分の性分だと諦めるしかない。 シンは自分に残された、ただ1人の弟だ。 王宮にいる皆が大切にし、危険から遠ざけ、帝国の闇に染まらずにこれまで育ってきた奇跡のような存在だった。 あの兄でさえ、シンには全く裏の顔を見せなかった。シンを子ども扱いする大人であり、優しい兄なのだ。実際にはフェイス達を抱きこみ、元老院と激しい情報戦を繰り広げている最も皇帝に近い男。 「兄上の様子はどうだった。大事はないか?」 「ああ。変わりはなし。だが、油断はできんだろう。あっちは完璧に元老院を敵に回しているからな。お前と元老院相手に本当によくやるよ」 ギルバート・デュランダル・プラント。 イザークとシンの兄は次期皇帝と目されながらも、未だ皇太子として指名されることはなかった。その真意の読めない言動から元老院は彼を恐れた。 だからこそ、イザークにも皇帝の座主を取る機会が残されているのだが、己がそれを望んでいるのかと問われれば返答に困る問いだった。 「父上はどうなさるおつもりだ・・・シンの事といい、兄上のこといい」 「お前、こーんな辺境に飛ばされた自分のことは棚上げか?」 「俺は兄上と血みどろの権力闘争を繰り広げたいわけではない。帝国の未来を考えた時、ただ兄上の望むとおりに進むのが恐ろしかっただけだ。もしもの時は俺が兄上を止めねばならん。その為に何の力もなかったのでは話にならんではないか」 兄を認めないわけではない。 優れた洞察力や指導力を持っていると思う。だが、元老院が危惧する不安をイザークも同じく抱えていた。 兄弟だからと安易に構えていることはもうできないのだ。 その為に弟を1人、失った。 ただ1人正妃から産まれた弟は、7年前に皇帝の座を狙う兄に障害とみなされ排除された。気づいた時には兄は既に詰めに入っており、当時何の力もなかったイザークには子供だましの妨害しかできなかった。 イザークの一つ違いの弟。 アスラン・ザラ・プラント。 滅びたアプリル王国のラクス・クライン王女の許婚だった。 覇王の血を引く正妃を母に持ち、将来を託望された、年が近いせいか何かと癇に障る弟だったのに。 正妃の血族に連なる者を延々と辿って殺害し、蹂躙され焼き尽くされた弟の封土ユニウス領にイザークは愕然としたものだ。王宮の恐ろしさと現実を知ったあの時から、理想と正論で構築された学術の世界から、権謀術数渦巻く世界へと足を踏み入れた。 「まあそう焦ることはないと思うぜ。シンの奴、空賊と楽しくやってるみたいだからさ」 「空賊か・・・ラクス王女に丸め込まれるよりは、ましか」 自分の中で何かしらの落としどころを見つけたイザークはようやく緊張を解く。 「そうとも限らんぜ。あいつはどことなく似ているよ」 「誰にだ?」 いつもと違うディアッカの声に聞き返していた。『あいつ』が誰を指し、誰に似ているのか確認したかった。 「一緒に居る空賊がさ、ちょっと見た目アスランに似てるんだ」 なるほど。だから、その空賊とやらに付いて回っているのか。 イザークはその瞳にしか色らしい色を持たないが、会えば嫌味しか言えなかった弟は濃紺の髪とエメラルドの瞳を持っていた。珍しい組み合わせだが、世界でただ1人というわけでもあるまい。現に彼の母親、レノア王妃も青い髪に緑の双眸だった。 世界に3人はいるという、他人の空似か。 「いつか・・・不肖の弟が世話になっていると、挨拶に出向かなければならんな」 「きっと馬が合わないと思うぜ」 7年も経てば、過去の惨事も思い出に替わる。 痛みに耐えられない自分ではないはずだ。 「だろうな。空賊と馴れ合いたくもない」 「と言うことは、シンはこのままか?」 「それとこれとは別だ。動向には注意を払っておけ」 「あ、やっぱり」 イザークはディアッカが持ち帰った黄昏の種石を手に、ラクス王女の次の手と兄の動きを考える。そして、アプリリウスの空に帝国軍ではない帝国の飛空艇が到着したのを見て、眉を潜めた。 「ディアッカ、席を外してくれ。ドクター・クルーゼが来る」 「それでは、お暇しましょうか」 手にした種石はぼんやり光を包んで不思議な色を放っている。 これの件で来たのだろうと、苦笑した。 「まいったな。筒抜けじゃないか」 辞したディアッカと入れ替わりに執務室に入ってきたのは、白い着崩した軍服と白い仮面をつけた金髪の男だった。ドクターと言うにはいささか好戦的じみている。 「これはドクター・クルーゼ。このような辺境に遠路はるばるよく来られた」 「いやいや。私も君の奮闘振りを見ぬわけにはいかぬ」 それもそのはず、ドクター・クルーゼはイザークが学業時代に師事した教授である。専門とは別に剣技や魔術にも通じ、学術全般にわたって教えを乞うた恩人である。そして、あの兄と懇意にして、自分専用の研究所を設立させるという荒業を成し遂げた人物だった。 延々と続く砂漠で幾度も野宿をし、オイル臭い油田施設で蒸し焼きになりそうなりながら、ようやく超えた砂漠の向こうには一転して海が広がっていた。 「あーやっぱり、水はいい」 海水を蒸留して飲料水を蓄えたばかり。 教わったばかりの炎の魔法で火をおこし、氷の魔法で急激に冷やして蒸留する。残った塩も勿論無駄にはしない。この暑さの中、根気よく魔法にチャンレンジしたシンとステラにミーアが『素質あるわよ!』なんて褒めるものだから二人はバシャバシャと一緒に海岸線を走っていた。 無駄に魔法を掛けながら。 「大陸の先にこんな所があったなんて」 「海からもおそらく侵入できないのだろうな」 オアシスの木陰で、即席で作った椰子の葉の団扇でお互いを扇ぎあっているアレックスとミーアがその光景をぼんやりと眺めている。その中間にラクスとダコスタ、一歩後ろにキラが太陽に照らされて立っていた。 「暑くないのかしら」 「高貴な人の考えることは分からないさ」 アレックスが補充したばかりの水を喉に流し込む。ラクスの後ろ姿を見ながらミーアが呟いた。 「王墓にどんな財宝が残っていると思う?」 「君はあの話を当てにしているのか?」 動く気配を見せた王女様ご一行に、やれやれと腰を上げる。 「当たり前じゃない。こーんな苦労をして行くのよ、何もなし、じゃ割に合わないわ」 「はは。確かに、な」 シン達に手招きしながらミーアは思い出したようにアレックスを見る。 「キャンベラの詩にあるわ。世界の種は天の四方に一つずつ配されたと」 「4つの樹が天蓋を支えている、と言うあれか」 「ええそう。そして、神は人に樹を切り倒されないように見張りをつけたの」 初めて聞く話だと彼は眉をひそめ、その続きを即す。分かっていながら聞かずにはいられなかった。 「見張り?」 「要するに種石を守る番人ね」 ラクスの話ではこの弧を描く海岸の辿り着く先に王墓が隠されているのだと言うが、彼女はどこまでジョージ・グレン王の王墓のことを知っているのだろうと、二人は歩き出した王女を見つめた。 一日進めば海岸の先に切り立った断崖が見え、内陸へと細い道が繋がっていた。道中はやはり野生化した凶暴な猛獣が出現したが、使命に燃える王女一行の敵ではなかったらしい。多少の疲労感を纏って、細い道を抜ける。 岩場を繰り抜いて作ったと思われる石の都が目の前にあった。 「ここがグレン王の王墓」 「そうですわ・・・おそらく」 ダコスタが感慨深く呟いた傍から、ラクスが一歩前に出て正面の大きな建造物を見据えた。 「王墓への入り口は・・・あそこですわ」 外は日差しが照りつけじりじりと焼けるようだというのに、墓室内への入り口はひんやりとして涼しかった。シンとステラは王墓の壁にぺたりを頬をつけてヒンヤリ感を楽しむ。 「ラクス様。本当によろしいのですか。空賊風情に」 ラクスが壁にへばりついているシンとステラを見る。その後ろからアレックスがシンの頭をベチッと叩いていた。ミーアとステラが単純に無事の到着を喜び、財宝に胸を膨らましているように見える。 「ダコスタ。わたくしは約束しましたわ。例えそれが空賊だとしても、決して違えることはありません」 「はっ。出すぎた真似を、申し訳ありません」 アレックスに叩かれて少し神妙にするシン。 石造りの扉の前で誰が一番に乗り込むかで少しは逡巡するかと思っていたら、2・3言交わしただけであっけなくダコスタが飛び込むのを見て、なんだかその努力に涙を誘われそうになった。 「ラクス様、こちらです」 ぞろぞろと内部へ入り込む光景は、観光案内のように危機感のないもので。 しかし、観光とは行かなかった。 「なんだよ、これ!」 足を踏み入れた墓室の内部には薄く靄みたいなものがたゆたっていた。光のプリズムを鈍くした光のない靄が流れている。 「シードが濃いのよ」 「シード、目に見えるの?」 ステラの疑問はもっともな事で、ステラの頭をくちゃっとしながらアレックスが続ける。 「普通は目に見えないな。けれど、シードが集まる場所では目に見えることもある」 「じゃあ、魔法が使いやすいのか」 「そうとも言えないな。確かに俺達もシードを集める手間は軽減されるが、相手もそうだろうから、条件は同じだ。むしろ分が悪いかも知れない」 何かに惹かれるように階段を降り始めたラクスを慌ててダコスタが追い、勢い全員が王墓の奥深くへと進む。 物々しい石像が所狭しと並び、階段の脇にはシードによる炎が灯されている。 ふと視線を感じてシンは振り返った。 「すげぇ」 見たこともない大きな石像がシンを見下ろしていた。 幾つも手があり幾つも脚がある、謎の物体。 どっかの神様・・・なんだろうか。 そうこうする内にその石像が動いた、ように見えた。 「あれ?」 「シン、どうした」 立ち止まったシンを見つけたアレックスも同じように立ち止まり石像を見上げる。 「すごい石像ーーー!?」 二人が見上げる中、その石像の腕がガシャンと振り下ろされた。手にした刃物は石造りとは言え、人の身の丈はある巨大なもので、しかもその石像には無数に腕があるのだ。 全員が目を見張る中、石像がずるずると動き出した。シン達のいる方に向かって、幾つもある足をムカデのように動かしなら。その様子に生理的嫌悪を感じたミーアがステラを引っ張って一番に走る。 「あの扉まで走って! 早くっ」 ラクスを庇ってダコスタとキラが残り、シンとアレックスがギリギリ扉に滑り込んだ。と、同時に扉に重低音が響き、振動でびりびりと揺れる。 「みんな。無事?」 「・・・何とかな」 キラが確認すると、ゼーゼーと息をつくシンの変わりにアレックスが答えるが、言い終わらない内に足元に振動が響く。 「いいえ、まだですわ!」 嫌な音が前方から迫っていた。逃れたばかりの石像と同じものがずるずるとこちらに向かってくるのが見える。剣を抜くダコスタとキラ。ラクスがスタッフを振って、二人に魔法を掛けていた。 「ミーアはステラを頼む。これが番人なのか・・・?」 「分からないわ。でも、早くしないと・・・あたし達ぺちゃんこよ!」 ぺちゃんこ!? シンは迫る石像に向かって剣を振り上げて切り込んだ。 「こらっ、シン待てっ!」 アレックスが銃を構えて後を追う。 「あー、もう」 4人が寄ってたかって攻撃したものだから石像はなんとか破壊できたけれど、男連中は時間を気にして全力でぶつかっていた。 「そんなに焦らなくても・・・仕方ないわねえ」 ミーアが皆に疲労回復の魔法を掛ける。 「アレックスまで混じって、何も銃の端で殴ることないじゃない」 「ごめん。ちょっと焦った」 息を整えて、石の瓦礫を乗り越える。 気を取り直して進んだ扉の先に本番が待ち構えているとも知らずに、ラクスが通路の先の扉を押す。 そこには先程の石像よりさらに大きな石像が道を塞いでいた。 2度も遭遇すればただの石像でないと誰でも予想が付いた。 巨大な石像の台座にラクスが触れ、掘られた文字を辿る。読めない文字ではなかった、王家のたしなみとして多少なりともかじった古代文字。 魔人ジャスティス。 文字が浮き上がり床に巨大な図形が浮かび上がる。 一同の予想にたがわず、無機質な岩の身体を赤く染めて手にした剣を振り下ろした。 まるで血が滴り落ちそうな紅色をした巨人は、黄緑色の目を見開いて大剣を振り回す。背に白い布地を垂らし、それすら動くたびに風圧でシン達を翻弄した。頭には大きな角が2本あって、この巨人が微妙に女性の身体をもっているなんて反則だと思った。 「まずは動きを止めないと!」 避けるのがやっとではいつまでたっても倒すことができない。 炎と共に剣戟が建物全体を震わせる。 「あの大剣は俺がやろう!」 振り上げている時が多い腕をアレックスが狙い、キラ達が足を狙う。 何度目だっただろう。 シンは剣を振り上げた。 「いい加減に、やられろってんだっ!!」 ミーアの疲労回復魔法の光が収まってすぐに、魔人ジャスティスの動きが止まる。 赤い光が巨体から迸ったと思ったら、今度は色を変えて魔人の身体へと集まっていく。その中に何か光るものがあると気が付いた時には、巨体はすっかり消えていて、宙にプカプカとクリスタルが浮いていた。 「今のが・・・番人ね」 「だとしたら、この先には」 汗をぬぐうアレックス。ミーアがシンとステラの手当てをしながら奥を見やる。 魔人の消えた先には小さな、しかし重厚な入り口があった。 「結局、財宝なんてなかったな」 「いいえ、あの魔人こそが覇王の遺産だったのです」 入り口の前で振り返るラクスが笑みを浮かべた。 何もかも分かっていて、財宝があるかも? と持ちかけたのだ。 「冗談はよしてくれ」 アレックスは宙に浮かぶクリスタルに手を伸ばす。 確かに見た目はきれいだし、ちょっと変わった宝石として通用するかもしれない。けれど何かの拍子に今の魔人が出てきたとしたら? そんな物騒なものを持ち帰るわけには行かない。触れるだけにしてそのままにしておこうと思ったのに、クリスタルに指先が揺れた瞬間、その透き通ったクリスタルは消えてしまった。 「なっ!?」 「お気を悪くなさらないで下さい。わたくしも詳しくは知らないのです」 ラクスはそっけなく告げて入り口を潜る。 未だ感触が消えないのか、彼が指先を見ていると、トントンと背中を叩く手。 「まっ、気にするなよ!」 シンにはこれで二度もお宝を手に入れそこなった彼を励ましたつもりだったのに、返ってきたのはゲンコツだった。 「痛ってぇ」 「何が気にするなだ、見習いのくせに生意気なっ」 両手で頭を押さえたシンもアレックスも小さな入り口を潜る。ステラが隣に来てぎゅっと服を掴んだのを見て、ラクスが立ちすくむその先を見た。 暗いはずの墓室の最も奥の部屋に、青白い光が浮いていた。 「暁の種石・・・」 なぜラクスは立ち止まっているのだろうとシンは光を凝視する。 それが人の形をしていると気が付いて、深紅の瞳が限界まで見開かれることになった。シンの記憶の中にいる人物がそこにいるのに、今すぐにでも駆け寄りたいのに足は頑として動かない。 シンと同じようにラクスも、もう一つの種石を前にして動くことができなかったのだ。 ギリギリ手の届く位置に安置されていたというのに、手を伸ばすことができない。ただ、その種石を手に取りこちらに歩み進んでくる姿を凝視するしかできなかったのだ。 どうしてこんな所でお会いするのでしょう。 会ったのはもう何年も昔に数回だけ。 思わず顔の前で手を合わせてしまう。その小指に嵌っているのは小さい時に送られた手作りの指輪。決して美しくはない、不恰好な指輪には宝石の一つも付いていなかったけれど、けれど確かにそれは約束の指輪だった。 目の前にいるのはその送り主。 かつての婚約者が暁の種石を手に、同じ光に包まれて優しく微笑んでいる。 ゆっくりと歩む姿が自分と同じ年齢を重ねていることに、これは幻だと分かっているのに。もしかしてと期待してしまう。 「アスラン・・・」 差し出された種石をラクスが受け取ると、本当に微かなけれど笑みを浮かべて脇を通り過ぎていく。その動きを追い、ラクスは振り返って彼の後姿をずっと見送った。 呆然と見送る彼女をシンがただじいっと見つめていることも知らずに、手の中の種石を抱え込む。 あれから7年も経つのに、こんな所でずっと待っていてくれたのだろうか。 王家の為にいつか立つわたくしを信じて? 光がすうっと引いていき、ダコスタが彼女に声を掛けるまでラクスはしばし時と場所を忘れていた。 戻る 次へ 長い・・・長いよ! 長すぎて読み直す気にならない。今回ちょっと詰め込みすぎかなあと、でも、ちんたらやってると終わらないし。進・ま・な・い。
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ファイナルファンタジーが35周年を迎えたとのことです(2022/12) ピクセルリマスター版の過去作のリメイクも発表され、懐かしむ人も多いかと思います。 そして、ファミコン版FF3を引っ張り出してプレイしようとしている人! 知ってるかもしれませんが有名な仕様バグがあるので教えます。 軽く調べたら、結構あちこちに載っていました…w バグの内容 モンスターに設定された8つのドロップアイテムのうちレアな方から5つは出ない。 なお、5番目にレアなアイテムは盗めるらしい。 バグの原因 アイテムをドロップする判定、何をドロップするかの判定に乱数を使うが、ファミコン版FF3では予め用意された乱数表から乱数をピックアップしていく仕様で レアな方から5つのアイテムをドロップするパターンの乱数の並びが存在しない。 余談 クリスタルタワー上層部でドラゴンに出会う確率は 4/256 だったと思うが、メニュー画面でケアルを使わない限り 本当に256回戦闘すれば4回出会えるのは、上記の乱数のピックアップの仕様によるところである。 もっと余談 同じく1990年に発売されたゲームボーイ Saga2 は、同じく乱数表がは使用されているものの、ピックアップした乱数を特定の値で割り算しその余りで判定している。 本件のバグに気づいた対応策なんだろうか・・・? ご参考 cheapなゲーム攻略情報さんに乱数に関する情報が載っていたので紹介します。 http //www.ric.hi-ho.ne.jp/cheap_restaurant/GAME/FF3/ff3fcdrop.html
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■ファイナルファンタジー4 【RTA】FF4(SFC・裏技あり) 3 46 57 【作品の傾向】RTA 【状況】完結(08/03/08~08/03/15) 【全動画数】8 【マイリスト】mylist/5470999 【備考】使用している裏技については作者コメ参照 この動画情報を編集 このページの一番上へ タグ:RPG SFC ふ このページを編集
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前のゲーム | 次のゲーム クリア条件:エンディングを見る 開始時間: 終了時間: 参加人数: 解説 操作方法 よくある質問・その他 解説 スクウェアのRPG「ファイナルファンタジー」シリーズの第六作目。 謎の少女ティナ、トレジャーハンターロック、元帝国の女将軍セリス、 その他数々のキャラクター達による群像劇が描かれる。 チビキャラの寸劇に留まらないダイナミックなイベント演出、3DCG映像によるCMなど、 先鋭的なビジュアルが話題となった。 今作の雰囲気は、今までの中世風ではなく産業革命期風になっている。 また今作から、FFのクリスタル離れの傾向が進むこととなる。 前作で一つの完成を見たジョブ・アビリティのシステムは、 今作ではキャラの固有能力やアクセサリや魔石といった形に置き換えられている。 FFシリーズにおいて、ゲームの途中で パーティメンバーを自由に編成できる設計は本作が初めてであり、 この要素は以降のタイトルにも引き継がれている。 今作の戦闘では、ATBゲージが満タンになった他のキャラにコマンドの順番をまわせるようになった。 また魔法などの演出中でも敵味方のATBゲージが増加する仕様となっている。 操作方法 十字ボタン キャラクターを移動、カーソルを移動 スタートボタン 縮小マップのオン/オフに使う。名前入力時の終了ボタン セレクトボタン メニュー画面で画面を早送りできる Aボタン コマンド決定、調べる、話しかける Bボタン コマンドキャンセルをする Yボタン メニュー画面の魔法一覧で表示を切り替える操作パーティチェンジ(特定の場面でのみ) Xボタン メニュー画面を呼び出す L・Rボタン 画面切り替え、魔法を複数にかける、逃げる よくある質問・その他 名前入力画面で名前を確定したい スタートボタンを押す。安価を取ってカオスにするのも良し、デフォルトのままでも良し。 各キャラの名前は、特定のアイテムを使うことによりゲームの途中でも変更できる。 回避率をあげても回避率が上がったように見えない おそらくプログラムのミス。物理攻撃の回避率も魔法回避率で一括管理されます。 バニシュデス・アイテム装備・兵士すり抜け・暴走カイエンなどの裏技は ゲームバランスを著しく変えてしまうため使用禁止。 uosnesだとロード画面などが一部灰色になってしまうけどプレイに支障のあるレベルではありませんので大丈夫です。 コメント 名前 コメント
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ニーナさんの魔法生活 姫騎士は蛮族の嫁
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暁の幻 帝都と聞くと高い建造物が無数に立ち並び、垂れ込めた雲と建物の間で路線飛空艇や人々が世話しなく動き回っている大都会・・・と想像しがちだが、プラントの帝都は違った。大都会で高層建造物が立ち並ぶのは間違いないが、予想外にそこは緑で溢れていた。建物には一定量の緑化が義務付けられており、建物の屋上は緑で覆われている。 帝都ディセンベル。 その中央に聳え立つ一際高い建物群を称して中央と呼び、そこには帝国の要である元老院、議会、王宮がある。皇帝は継承権を持つプラント家の王子達から選ばれ、元老院の推薦を受けて議会で承認される。元老院は直接国政に関与することはできないが、皇帝を選出するし、皇帝に助言を与えると言うこの点だけをもって権力の一角を担っていた。 この場合、議会で否認されることはない。 元老は引退した議員から功績を考慮して選出されるからだ。 強大なプラント帝国とて、皇帝の独裁国家ではないのである。 しかし、全ての組織を横断して三権を行使するフェイスマスターの存在が、帝国の統治機構を形骸化する。建前上は行政を担う皇帝の配下の各フェイス達が帝国全土を統治するが、その頂点に立つフェイスマスターには立法権も司法権もあるのだ。 広大な帝国全土をより良く治めるために機動力と強制力を持たせた結果、今や、フェイスは帝国の象徴の一つにもなった。 皇帝パトリックが定例の元老院議会から戻ると、早速、フェイスマスターの1人が報告に訪れていた。厳しい鎧兜を脱ぎ、金髪を無造作に無造作に伸ばしたフェイスが頭を下げる。 「カガリか。ご苦労であったな」 「はっ」 親子ほどに二人の歳は離れているように見えた。 「アプリリウスの様子は」 「イザーク殿下のアプリリウス統治はまずまずの滑り出しかと」 「そうか」 皇帝は大きな机の上で手を組みかえる。顔よりも皺の入った指には重厚なプラントの紋章の入った指輪があった。 「落ち着くまで待つしかあるまい。むしろ帝都にこそ蛇は住む、か」 「元老院はなんと」 「ギルバートを何とかしろと言ってきおった。研究所がよほど目障りと見える」 夕暮れのオレンジ色の光が横の大きな窓から差込、絨毯の上に長い影を作る。 「しかし、研究所は表向き帝国の公的研究機関」 「そこでそなたにやって貰いたい事がある。種石を手に入れるのだ」 フェイスの表情が揺れたが、パトリック皇帝は構わず続ける 「プラントの種石は失われてしまったのでな。あやつが求めるとしたら王墓の暁」 短く了解した旨を伝え、兜を被るフェイス。 金髪に彩られた顔と身体のラインを隠す甲冑を着込めば、フェイスマスター・カガリが女性だと見破るのは難しいかもしれない。部屋を出て行く姿を見送って、皇帝は組んだ両手に額を乗せた。頭上にある皇帝の冠が夕日を反射して赤く光った。 王墓の入り口まで戻ってきていたシン達は、ひんやりとした入り口から陽炎が立ち上る外を見て最後の涼を楽しんでいた。 「ラクス様。急ぎましょう。アプリリウスの同志も殿下のお戻りを心待ちにしております」 「え、ええ。分かっております」 入り口へと繋がる階段を降り砂の上を数歩進んだ所で急に日が翳った。手をかざして頭上を仰ぐと、そこには帝国の艦隊が浮かんでいた。 「帝国軍!?」 「ここは飛べないはずだ」 しかし現に飛行戦艦、多数の飛空艇が空を飛んでいる。 今またさらに、飛行戦艦から無数の突撃艇が射出され、こちらに向かってくる。気がつけば、周りを帝国兵に囲まれており、鎧の壁の一角が割れた。 「ラクス王女だな? ご同行願おう」 まだ若い女の声。 声を発したのは、1人だけ特別な鎧で覆い、黒いマントを翻すフェイスマスター。 「・・・カガリ」 その名はキラの口から明らかになっていた。 皆の命を人質にとられ、種石を渡せと迫られる所までシンの時と同じだった。しかし、第5艦隊旗艦の飛行戦艦の甲板で、ラクスはフェイスマスターに向かって種石はないと宣言した。 「王女。我らとて無闇やたらに争いたくはない、殿下さえご協力いただけるのなら、アプリルの自治を帝国が支援してもいい」 フェイスマスター・カガリとは残念ながら知り合いだといえるほど面識がない。 皇帝の傍によく控え、言葉少なく寡黙な印象を持っていた。ただ、今のフェイスの中で一番の実力の持ち主だとも聞いている。 しかし、一介のフェイスにそこまで権限があるかは、シンには疑問だった。 「よくそのような事が言えますわ」 狙いは種石だ。 ディアッカの時と同じように、手に入れたら用済みだと消しに掛かるに決まっている。 「失礼だが殿下、帝国相手に何ができる?」 「それはやってみなければわかりません」 果てしない道のりになるだろう。何年掛かるか分からないが、ここから一歩が始まるのだと、ラクスが手を握り締めた。それなのに。 「ラクス様、これはチャンスでは」 アプリル滅亡以来、共に復興の機会を伺っていたであろう腹心の部下がとんでもない事を言い出した。 「何を言うのです。ダコスタ! わたくしに帝国へ下れと?」 ラクスが驚いて振り向くが、ダコスタは冷静に見えた。取り乱したり、何かを隠しているように見えない。ただ、淡々と策の一つとして述べる。 「いいえ。そうではありません。やつらの目的は種石で、今それは殿下の手にあります。うまく立ち回れば奴らの力を利用することも可能では?」 「本気か?」 アレックスが突っ込み、シンは突然の仲間割れにはらはらラクスとダコスタを見る。そんなことを言うような人物には見えなかった。ラクス王女に仕え、忠臣の鏡のような男だと思ったのに。 フェイスマスターに付け入る隙を与えてしまい、カガリがフッと笑う。 「そちらの部下の方が状況をよくご存知のようだ。殿下の望みはアプリル復興ではないのか?」 言うが早いか、剣を鞘から抜く音。 「きゃあ!」 剣が向けられた先はステラ。 かつてアプリルの軍人に与えられた軍刀が、ステラの喉元に突きつけられていた。ダコスタの本気とステラを思って誰も動けない。まさか、身内にこんな伏兵が潜んでいようとは。 「この暁の種石は」 ラクスは目を閉じる。王墓で会ったばかりの婚約者が微笑んでいるのが見える。 貴方が応援してくださるのに、わたくしには期待に応えるだけの力がない。 「殿下、ご決断を」 「そちらにも利のある取引だと思うが」 取り出した種石は暁と名づけられるだけあって、青白い光を放っていた。夜明け前の空と海。黎明の光。種石を持つラクスの手は少し震えていた。小指の指輪に反射して青白く光る。ダコスタの手からカガリに渡ってもその光は変わらず、特に誰が持とうが同じ光を放っている。 「殿下を丁重にお連れしろ」 カガリが指示を出し、手にした種石を別の帝国兵に渡す。 「真贋を確かめろ」 「了解しました」 ところが、すぐに異常事態が発生した。 内包したシードの量を計測し始めた途端だった。 「これは! この種石は・・・シードを吸収しているっ!?」 帝国兵に囲まれて連行される間、ラクスはずっと無口だった。ダコスタが必死に彼女を説得しようと声を掛けていたのだが、きれいに無視していた。 「ラクス様、あのフェイスマスターは信用できる人物です。アプリル復興に力を貸してくれます」 「信用などと。どの口が言うのです、ダコスタ」 シンは信用を失う瞬間を見た。 もはや彼女がダコスタの言を聞き入れることはないだろうと思う。 なぜ、彼がこんなことをしたのかが分からなかった。 「ダコスタ。今はこの後どうなるかを考えるべきじゃないの?」 「・・・ヤマト将軍」 「ああ。そうだな、俺達このまま殺されてもおかしくなーーーどうした・・・」 急にミーアがうずくまる。肩を抱いて息を繰り返している。アレックスが駆け寄るが帝国兵も同じように二人を取り囲んだ。 「勝手な行動をするな!」 しかしミーアは動かない。 「熱いわ。熱いの・・・シードが熱い」 「ミーア! 大丈夫かっ!?」 アレックスが伸ばした手を止める。 もう、シンにも見えていた。ミーアの身体から立ち上る揺れる空気。どこかで見たことがあると思ったら。 そうか。グレン王の王墓の中の空気と同じだ。 立ち昇るのはシード。 同時に飛行戦艦が揺れだして、誰の目にも異常事態が知れた。ミーアの様子を怪訝に思った帝国兵が『立てっ』と槍を突き立てたが、あっという間に吹き飛ばされていた。 一度に二人の帝国兵を蹴り飛ばして、あり得ないほど高く飛ぶ。銃弾をものともせずに帝国兵をなぎ倒す。魔法はミーアの前で掻き消え、逆に倍になって放った魔導士に向かっていた。 「ミーア、どうしちゃったの?」 「俺だって、分からないよ」 シンはミーアの突然の変化を見ているばかりで、唯一状況を理解していそうなアレックスを見る。その表情は悲痛で、動きの止まったミーアに歩いていってしゃがみ込む。 「あの種石よ。種石のシードが暴走しているわ。この飛空戦艦・・・落ちる」 「本当か」 ミーアの呟きを聞いてシンはぎょっとする。アレックスの手作り飛空艇とは訳が違うのだ、帝国艦隊の旗艦が落ちることなどありえない。 「嘘だろ。こいつが落ちる?」 微かな揺れは続いているけれど、信じられなくてアレックスをもう一度見る。彼は疑うことなど何もないような顔をして、ミーアを抱き起こしに掛かっていた。 「脱出するぞ。ここは沈む」 「お待ち下さい、それは本当ですか?」 驚いたのはシンだけではない。 「ああ、ミーアがそう言った」 「君の勘は当てならないけれど、彼女なら話は別だ。急ぐよ」 アレックスはミーアを担いでいたから、シンとステラはキラの後ろについて道を探す。ラクスも頷いて飛行甲板を目指したが。 「駄目だ」 行く手を阻んだのはダコスタ。 「今、ここでこの飛行戦艦から降りるなど、駄目です」 「ダコスタ、どきなさい」 「アプリルの復興には帝国の力がいる!」 剣を抜くから、こちらも言葉で説得を続けることができない。 スタッフを構えて対するラクスを庇うようにキラが前面に立った。シンはアレックスとミーアが動けないのを思い出して、慌てて剣を抜く。 「ステラはラクスを守って」 「うん」 キラとダコスタの打ち合いが始まる。 一つはアプリルの軍人に与えられる紋章入りの軍刀。もう一方はどこで拾ったのか分からないただの剣。何かに忠義立てする剣ではない、けれど、持ち手の願いはおそらく同じ。 シンは剣を抜いてはいたけれど、二人の間に割り込むことはなかった。 勝負はすぐについたのだ。 ダコスタががくりと膝をついて、剣で身体を支える。 キラの横にラクスが立っていた。 「殿下は帝国の強大さをご存知ない。この2年間どれだけの犠牲を払ったか。もはや、我らレジスタンスだけの力だけではどうにもならないというのに!」 滅びた王国の復活。 死んだはずの王女を旗印に帝国から独立を勝ち取る。 それがどのようなことを意味するのか、本当の所、シンにはよく分かっていないのだ。けれど、目の前の息絶えようとしている男にはそれがいかに困難かを身をもって体験したのだ。王国滅亡から2年間の地下活動の間で。 「その通りだ」 ダコスタの奥の通路から鎧の音がガチャリガチャリと近づいてくる。 この声は、フェイスマスター・カガリ。 「ラクス王女。まさか自分が起っただけで独立できるとでも?」 「いつかは必ず」 「滅亡から2年。何もできなかった貴方が? 王女だと証明するものも何もない」 唇を咬んで耐えるラクス。 矛先を変えたのか、フェイスマスターがキラを見る。 「お前に何ができるができるというんだ? ヤマト将軍」 「諦めてしまったら・・・それで終わりなんだ」 「お前が、それを言うのかっ!」 ごろんとダコスタを足蹴にして、フェイスマスター・カガリが一歩近づく。 なんだ? この二人は・・・とても敵同士とは思えない遣り取り。 ハッとして、シンはキラとフェイスを見た。 確かキラはこう言ってなかっただろうか。 双子の姉に嵌められたのだと。 まさか、目の前のフェイスがそうなのだろうか。 「現実を見ろ。キラ・ヤマト」 「だからこそ、抗うんだ」 一瞬の間を置いて、キラが応える。 それを聞いて、今度はフェイスマスターが黙る番だった。 「君も早く脱出した方がいい。この船は落ちる」 「何を馬鹿な事を」 気のせいか、振動が激しくなったような気がする。 「忠告はしたよ」 「せいぜい逃げるがいい、どうせお前には何も成し遂げられやしないさ」 「うん。分かってる」 「いつまでしゃべってんだ。早く逃げるぞ、こら」 ラクス王女でさえ静観していたのに、割り込んだのはアレックス。 ミーアに肩を貸し、開いた手で何かを投げる。それは弧を描いて、キラとフェイスマスターの間にゴトンと置いて、バヒュッと爆ぜた。 もくもくと上がる煙。それは煙幕。 「アンタ、なんでそんなもん持ってんだよ!」 「備えあれば憂いなし、だ」 煙幕などと言う、ある意味珍しいものが、あまりに帝国の飛行戦艦という場にそぐわなくてシンは早速楯突いていた。 「ミーアがせっかく知らせてくれたのに、時間を無駄にするな」 キラがあっけに取られて、そして笑う。 「ああ、うん。そうだね。そうだ」 駆け出すアレックスとミーアを追って、キラがラクスを振り向く。 「殿下も、早く」 「ラクスも・・・急ぐ!」 キラとステラに引っ張られてラクスが一歩動く。倒れたままのダコスタを一度だけ振り返り、煙に完全に隠れて見えなくなると、前を向いて走り始めた。 ドォン。 煙が晴れないうちに大きな衝撃が襲い、揺れは艦全体に及んでいた。 煙幕とは違う煙が通路に充満し、身体に感じるのは落下による浮遊感。 通路の帝国兵も慌てていて、逃げるシン達を追うべきなのか、緊急事態に指示を仰ぐべきなのか、戸惑っているのが幸いした。飛行甲板の突撃艇に乗り込む。 その時にはバキバキと艦隊が軋む音が盛大に起こっていて、振り向くのが怖かった。 ミーアの言うとおり、この飛行戦艦が落ちる。そんな事が本当のことになっている。 本来1人乗りのところに、6人。 狭いコックピットにギュウギュウ詰めの帝国軍突撃艇が浮上する。 炎が喰らいつくように伸びて飛空艇に伸びるが、操縦するアレックスが飛行甲板を障害物を避けながら飛ぶ。とても避けられるようなものではなかったけれど。 「うわっ、ぶつかるっ」 「うるさい! 黙ってろ、シン」 右に左に振られる突撃艇の中で、ステラが床に横たわったミーアに覆いかぶさる。 「怖いっ」 「・・・大丈夫よ・・・絶対・・・無事に切り抜けられるから」 空賊としてずっと仲間だったミーアには信じられても、シンには目に見えるものが全て。 「でもっ・・・て、あーーーっ!!」 飛行甲板に降り注ぐ残骸と、分解する飛行戦艦を見たら誰でも声にならない叫び声を上げる。何せ、破片は四方八方に飛び散っているのに、戦艦の中央部分はまるで空洞のように何もないのだ。 「空賊を、なめるなよっ」 加速が掛かって、転がらないように座席にしがみ付くシンは、急にその力がなくなったのを感じて目を開ける。大きな弧を描くように爆発の中心から逃れた突撃艇は、眼下の落ちる飛行戦艦の上をゆっくりと旋回していた。 「あれはっ」 ラクスが指を指した方角に、キラキラと輝く何かが浮かんでいた。 青白い光を放つそれは、暁の種石。 爆発の破片と一緒に宙を飛んでいる。 「拾っていくだろっ!」 突撃艇はもう一度、爆発の余韻が残る残骸の中に向かって旋回した。 「お礼を言いますわ」 「そりゃ、どーも」 またもや財宝を手に入れそこなったことで、当然のごとく機嫌が良くないアレックス。用は済んだとばかりに先を急ぎたいラクスが別れを告げる。 「シン殿下。これでお別れですわね」 「そう、ですよね。ラクス王女もお元気で」 プラント王子の自分がこう言うのはおかしいのだろうが、相手はアプリルの王女、ラクス・クライン。いくら名ばかりとは言え、こんな時に失礼はできなかった。 「アレックス、君も。また機会があったらよろしく」 「さっさと行け」 キラの言葉にもひらひら手を振って追い出したアレックスはくるりと踵を向けて、セイバートリィの元に戻る。 空中都市ターミナルで別れた足で、ラクスとキラはバルトフェルト侯の元へ急いだ。取り戻した種石と決起について話し合う為だったのだが、侯から出た提案は意外なもので、ラクスは言葉を失う。 「空中都市ターミナルでの王女の安全は保障しよう」 「わたくしに身を隠せと」 意味が分からないラクスではない。 「今の君に何ができるのかね?」 ダコスタやフェイスマスターと同じ事を今また、頼りにしているバルトフェルト侯も口にする。それ程までに帝国は強大なのだと改めて認識せずにはいられない。 待つことに反対ではありませんわ。けれど、それはいつまでなのでしょう? もう2年待てば宜しいのですか? 「とにかくラクス。君には休息が必要だよ、身体を休めてゆっくり考える時間が必要だ」 そして、飛空艇の発着ポートでラクスやキラと分かれたシン達。空賊の一行は一旦アプリリウスに帰って、ステラのいた雑貨屋の様子を知るべく発進する準備を進めていた。 「また、収穫なしか~」 「食い扶持が増えたってのにさ」 ヨウランとヴィーノを手伝うシンとステラをあわせた4人が、整備と物資の積み込みをしている所だった。燃料はかからなくても乗員には燃料がいる。アプリリウスに寄った後、小金を稼ぐことにしていた。いわゆる空賊の本業の事である。 「アレックスは?」 「発進の手続きをしに行ったぜ」 「こらっ、シン。サボってないで、こいつ全部積み込むぞっ」 ヨウランが腕を振り上げている。シンとステラが麻袋を一つずつ持ち上げてカーゴスペースに運ぶ。全部運び込むと、セイバートリィに繋げていた色々な管を外しに掛かる。水道管をごろりと外して横たえ、蓋を閉める。 「これで後はアレックスを待つばかりっと」 どやどやと4人が深紅の飛空艇の中に戻る。カーゴスペースの荷を仕分けして適当な位置に固定する。ようやく一仕事ついて、計器の点検の為にコックピッドに戻った時、そこには先客がいた。 「あれ、アンタ」 まずヴィーノが気づいて、ヨウランが『げっ』と零す。遅れて入ったシンとステラが先客二人の名を呼んだ。 「ラクス! ・・・とキラっ!?」 「またお会いしましたわね」 「なんだ、どうかしたのか?」 いつの間にか帰って来ていたアレックスがコックピットに入って来て、露骨に嫌そうな顔をする。最後に顔を見せたミーアが驚いて少し笑う。 「あらあら」 「ここで何をしている?」 無断侵入がばれたラクスとキラは平然とその目的を口にする。 「セイバートリィに乗せてもらおうと思いまして」 「僕達の方が早かったみたいだったから、先に上がらせてもらったよ。駄目だったかな」 駄目も何も・・・。シンはアレックスを振り返った。 案の定、怒っている。 確実に今後の予定が狂うからだ。アプリリウスに行く予定も、その後に一稼ぎする計画もパーになる。 「もう関係はないはずだ」 「それは困りましたわ」 「なぜだ?」 問うアレックスにラクスは正面から言う。 その瞳は迷いがなく、背中に光を受けて。 「現実から目を背けず、屈せずにわたくしの手で成し遂げたいのです。アプリル復興には長い時間が掛かるかもしれません。けれど、その道を自分の足で歩みたいのです」 2年の間彼女を支えた忠臣は、あまりの壁の高さに屈してしまった。 途方もない夢の為に、皆が表だって動けずにいる。 「その為に、歌だけではなく、守られるだけでもなく、剣を取ると決めたのです」 「反乱分子の親玉、過激派王女様を乗せるなんて、真っ平ごめんだな」 拒否するアレックスをラクスは予想していたのだろう、一呼吸置いて微笑む。 「では、わたくしを盗んでください」 「は?」 アレックス同様、シンも疑問符を浮かべる。 盗むとはどういう意味だ? 「空賊なのでしょう?」 確かに。アレックスは空賊だ。 「わたくしをここから盗んでくださいな」 空中都市から連れ出して欲しいと、ラクスはアレックスに頼んだのだった。 ポンポンと肩を叩く音はミーアの手から出ていて、スタスタとコックピットのシートに座る。 「何してるの? アレックス、早くアプリリウスに行きましょ」 ヨウランもヴィーノも自分の席について発進の準備を始める。 「おい、ミーア! 俺はまだっ」 「あー、ほらほら、文句言わないの」 戻る 次へ よしよし、今回は短いぞ(あまり話しが進んでいないというのは置いておいて)配役からいって、こういう流れなんですよね・・・。道のりは遠い。
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逃走、地下水路 呼び起こされる記憶。 「アス兄・・・」 遅くに生まれた子だったから大人達に囲まれて、難しい話ばかりを聞いて退屈だった。そんな時に構ってくれたのが、4つ上の3番目の兄。こっそり街に連れて行ってくれて珍しいものを一杯見せてくれた。 その兄が死んだと聞かされたのが7年前。 幼い頃の記憶は風化して思い出そうとしても上手くいかないけれど、忘れられないのはきれいな宝石のような緑の瞳。 なぜだろう。 久しぶりに会った兄を見て、懐かしい記憶が蘇ってしまったのか。 それとも、目の前の男が記憶に残る緑の瞳をしていたからだろうか。 死んだはずの兄だと思ってしまった。 「・・・は?」 男の声に我に返る。人違い・・・? 彼が一歩踏み出して、手の平を差し出した。 ゆったりとした白いシャツと刺繍がされた皮のベストに黒のパンツ。 「あんた、誰だ・・・?」 目の前の男はゆっくり唇の端を上げて笑った。 「この物語の主人公さ」 そんなことを堂々とのたまう相手に、なぜ、せっかく手に入れたお宝を渡さなければならない。シンは渡すものかと手にした石を懐にしまいこんで一歩下がるが、カツーンと硬い音を立てた。 そこには触れたばかりの女神像。 追い詰める男が反対の手に銃を持つ。 逃げ場はない。 カチャリと撃鉄が起こされる。 シンが動かない頭を必死に回しているとき、ドアの向こうで鎧の音が響いた。 目の前の男が舌打ちしてシンを見た。 「ほら、行くぞ」 そんな仕草が記憶とダブる。 手招いて背中を見せるが、シンはその場を動かなかった。なんとかして、ごちゃごちゃになった頭の中で整理をつける。 そう易々と付いていくものか。知らない人についていっちゃあイケマセンと言われているのを知らないのかとばかりに、上目遣いに睨みつける。 「何やってんだ。早くしろ。捕まりたいのか?」 それはごめんだ。けれど。 シンの逡巡はすぐそこまで迫った足音が強制終了されてしまった。格好悪くお縄になったところを、兄に見つかるのはまずい。ここは上手く逃げおおせなければならないのだ。 なんだか、俺さっきから同じことばかり考えているような気がする。 シンは気のせいだと頭を振って、後を付いていった。 「って、こっから飛び降りるのかよ!?」 「大丈夫だ。よし、飛べっ!」 「ちょ、おいっ、まじかよっ!」 手首をつかまれたまま、宝物庫の月明かりの窓から飛び降りた。 剣の打ち鳴らされる音が夜空に響き、上空には飛空挺の飛空石の青い光。 窓の外は戦場だった。 王宮の塔の向こうから、小型飛空艇の青い光が急激に接近してきた。落下する二人に為す術はないのだが、シンが掴まれた手首に力が入ったのを感じた時、ぐわんと身体に衝撃が来た。 落ちるのではなく、空中を滑っている。 自分の手を掴んでいるのは宝物庫で鉢合わせた男で、彼は危うくぶつかる所の小型飛空挺に乗っかっていた。 足元は地上から遠く、下には戦う帝国軍と鎧を着た男達。 何が起こっているのか視線をめぐらせた時、ガクンと傾いた。 「どうした、ミーア!?」 「分かんない。制御が効かないの」 なんだ、仲間なのかと思ったのもつかの間、眼前に迫るのは王宮の古い塔。 今度こそ衝撃と轟音に包まれて、身体中に痛みを感じた。 気がつけは、独特の匂いが鼻をつく。 それは、かび臭い、地下の、古い水の匂い。 月明かりも届かないそこは、王都の地下に張り巡らされた地下水道だった。 「これはもう使えないな」 「歩いて出るしかなさそうね」 「歩くだけで住めばいいけどな」 声が微妙に反響して、地下だと言うことを再認識させられた。一人は宝物庫であった男。そしてもう一人は、長い耳をした抜群のプロポーションをしたキャンベラだった。長い手足、ふさふさの長い耳。風吹く大地で山々に囲まれて、大地と共に詩を歌って生きると言われる神秘の種族が目の前にいる。 初めて見たわけじゃないけれど、シンが持っている知識と目の前のキャンベラは幾分違っていた。風誘う詩乙女と言うには過激な服装で、むしろ戦乙女のようないでたちであった。 「なんだ、キャンベラが珍しいのか」 シンがじいっと見ていると男の方に気がつかれたようだ。子ども扱いの言い方にムッと来る。 「人間とつるんでいるキャンベラが珍しかっただけだ」 こんな奴。兄さんなわけあるもんか。 他人の空似ってやつだ。 「ふぅん。まあ、いいさ。俺はアレックス、こいつはミーア。空賊だ」 大人二人に囲まれてはシンに分が悪い。上から2対の瞳が見下ろしている。 「女神像の石は・・・」 「これは渡さない。俺が見つけたんだ、俺のものだ」 肩を竦めて、アレックスと名乗った男はため息を付いた。反対にミーアというキャンベラはくすりと笑う。 「それはまた話をするとして、今はここを出るのが先決だ」 「そうね。城内で反乱が起こっているようだもの。いつここも探索されてもおかしくないわ」 シンの耳が聞き捨てならない言葉を拾う。 「反乱!?」 「おおかた、アプリル復興レジスタンスの奴らだろうな」 「急ぎましょ」 二人がさっさと地下水道を進んでいくから、シンは否応なしに後を付いていくことになった。着いたばかりの街の地下を、西へ東へ進む。 水路に巣食う野良動物を相手に、シンが腰に下げた剣で払い、アレックスが銃で仕留める。ミーアがどこに隠し持っていたのか弓で蝙蝠達を落としていった。 壊れた金網をこじ開け、水路を飛び、レンガの天井から漏れる水を避けて、ゆうに数十分は進んだ頃だろうか。 「ねえ、アレックス」 「・・・なんだ」 「この道であってるの?」 前も後ろも延々と水が流れる地下水道が続いている。 「・・・信ずれば通ず、だ」 地図もなく、3人ともはじめての場所。 シンは今まで地下水道を徘徊してきた道のりを振り返った。出合った数々の強敵達、幾度視線を潜り抜けただろうか、と一人回想に耽り、自分の勇姿を思い返して、目の前にある水路を見た。 「なんだよ行き当たりばったりかよ。そんなんで出られると思ってんのか!」 「俺は空賊なんだ。地下は守備範囲外だ!」 青年と少年が喚きののしり合いながら、右だ左だと迷走すること小一時間。 いくつもの水路が合流する地点に出た。 一段、上から流れ落ちる水路の奥で剣の打ち鳴らされる音がした。 鎧の音、足跡、男達の声が響き、突如、女の声。 「次はどなたですのっ!」 水路の端に姿を見せたのは、スタッフを手に戦う女性だった。3人が見守る中、あれよあれと3人を倒していく。細身のレイピアに似たスタッフで上手く鎧の急所を付きひらりと身をかわす。 けれど、次から次へと彼女を狙う帝国兵が現れる。また一人増えて、逃げ場がなくなる。シンは見かねて思わず叫んでいた。 「飛び降りろ!」 声に初めて、下に人が居ることに気が付いたのか、一瞬動きが止まり、それがさらに窮地に追い込んだ。戸惑っている暇はなかった。 「早く!」 シンが駆け出し、アレックスとミーアも続く。 迫る帝国兵の手をすり抜けて、彼女が身を躍らせた。ドサリとシンの腕に落ち、支えきれずに後ろに倒れこむところを身体ごと、アレックスに支えられた。 帝国兵も釣られて飛び降りてきて、わらわらと取り囲む。 「反乱分子の一味か?」 「女は生かして捕らえろとの命令だっ」 「残りはかまわんっ!」 それはないだろと、舌打ちするまもなく帝国兵達は剣を振りかざして向かってきた。シンは夢中で剣を振り回したが、逃げてきた女性はともかく、アレックスやミーアはどこか余裕ありげに帝国兵を倒していく。最後の一人をアレックスが狙撃して崩れ落ちる。 額に浮かぶ汗をぬぐう。 動物とは違って、相手は人間だ。殺しはしていないとは言え、そう思っているのは自分だけかも知れないし、明確な敵意を持って危害を加えたのは初めてだった。 シンは手が震えているのを感じて慌てて、剣を鞘に収める。 「大丈夫か?」 「わたくしはこのような所で死ぬわけには」 「俺はシン。アンタは?」 「あなたにアンタ呼ばわりされる覚えはありませんわ」 絶句するシンを尻目にアレックスが再び聞く。 「で、名前は?」 「ラクーナ」 頬を膨らませてシンがアレックスを見るが、彼は既に水路の奥を見ていた。 「のんびりしている暇はない。逃げるぞ」 「こっちよ」 今度はミーアが先頭に立って、地下水路を進む。 相変わらず野良の小動物は一杯いたが、一人増えたおかげで先程よりもスムーズに進むことができる。巨大なカエルに遭遇した時も、自然とチームを組んでいた。切り込み隊長のシンとラクーナがまず一撃を与え、後ろからアレックスとミーアが確実に仕留めていく。 それから半時は水路を進み、ミーアが足を止める。 「空気が変わったわ」 「出口が近いってことか!?」 シンが喜びも露にしたが、ミーアの返事は冷たいものだった。 「さあ、どうかしらね」 一行はその後も水路を進み、水路の分岐点に出た。そこはちょっとした空間になっていて、天井の一角から外の火が漏れていた。 喜んだのもつかの間、鎧の音がして一同は振り返る。 ずらりと並んだ帝国兵の間から、一人の帝国兵が歩み出る。 「ここまでだな」 水路でやりあった帝国兵の数の10倍は軽くいるだろう。 「ラクーナを捕らえろ。その女は反乱分子のリーダーの女だ。残りの奴らは・・・・・・」 「この方達は関係ありませんわ!」 ラクーナが弁明を試みるが、つれないものだった。 「なら監獄送りだな」 監獄と聞いてシンは焦る。 ここ、かつてのアプリル王国で監獄と言えば、アプリル侵攻の時に最後の砦となったバナディーヤ要塞しかない。ただし、そのバナディーヤ要塞跡から生きて帰った者の話は聞かないのだ。 「ちょっと待ってくれ、俺はっ!」 シンの叫びも空しくラクーナは捕らえられ、シンを初めとするアレックスとミーアも問答無用で捕らえられた。 戻る 次へ ごめんなさい。